ワシントン・ポスト紙の報道によると、米国の複数のNPOがウォールマート財団の活動が米国の内国歳入庁が定める501C(3)の免税ステイタスに違反しているのではないかという申し立てがなされたと言うことです。
NPO側の申し立ての内容は、ウォールマート財団が、ウォールマート本社が進出したい地域に集中的に寄附や助成を行うことで、ウォールマートの出店の地ならしに利用されているというもの。これは、慈善活動ではなく、ウォールマート本社の私的利害の追求活動に当たるため、免税ステイタスの要件である公益性に反するというのがNPO側の言い分です。さらに、NPO側は、ウォールマート財団が、ウォールマート本社に完全に統制されており、活動の独立性がない点も問題提起しているようです。
米国では、企業財団の活動が、ますます企業本社のCSR活動や企業フィランソロピー活動との連携を深めています。さらに、CSVという名の下に、企業の本業こそが企業の社会貢献活動だという議論も広がりつつあります。こうした中で、もう一度、公益活動と企業の利益追求活動の境界を明確にしようという今回の申し立ては、重要なポイントだと思います。さて、内国歳入庁がどのような判断を下すでしょうか。興味のあるところです。