ホワイト・ハウスの主導により、大型助成財団と民間投資機関のエネルギー・農業・水資源・廃棄物処理関連の技術に対するインパクト投資を加速させるプラットフォームが設立されました。
PRIMEと名付けられたこのプラットフォームは、すでに12億ドルの民間投資資金を調達したとのことで、助成財団としては、ヒューレット財団やマッカーサー財団が資金支援を行っているとのこと。2016年を目処に本格的に活動を開始し、二酸化炭素排出削減問題を中心に、革新的な技術やシステムに対する長期的な視野からのインパクト投資の促進を目指すと言うことです。
インパクト投資は、社会環境分野に民間投資資金を導入することを中心的な目的としています。他方、社会環境分野への投資、特に先進的なテクノロジーに対する投資は、長期的な視野からのコミットメントとリスク管理が欠かせません。民間投資家が参入しやすくするためには、財団によるプログラム関連投資やミッション関連投資との連携が不可欠となります。PRIMEは、マッカーサー財団などの大型財団によるコミットメントを得ることで、この点をクリアしました。
PRIMEのプロジェクトは、もともと、6月にホワイトハウスが打ち出したクリーン・エネルギー投資イニシアチブに端を発します。ホワイトハウスは、投資家や財団幹部を招いて会議を開催し、その席上で、財団のプログラム関連投資に対する規制の緩和やエネルギー省クリーン・エネルギー・インパクト投資センターの設置などを打ち出しました。その延長上に、今回のPRIMEの設立が実現したわけです。
つい最近、日本でも、政府が日本企業に投資促進を要請しました。しかし、当たり前のことですが、民間企業は、独立した存在ですから、政府から頼まれたからと言って投資行動を変えることはありません。企業を動かすには、政府が明確な政策ターゲットを設定し、さらに民間の投資リスクを補填する措置が不可欠です。今回のPRIMEの試み、社会的インパクト投資政策という点のみならず、民間資金の活用という観点からも、ぜひ日本政府に真剣に検討してもらいたい事例だと思います。