最近、社会的インパクトを志向する社会的企業をインパクト・エンタープライズと呼んで支援しようという動きがあることを紹介しましたが、このインパクト・エンタープライズの動きを平和構築にも応用しようという試みが始まっています。
このプロジェクトは、シンガポールを拠点に社会的インパクト投資の発展を目指すIIX Asiaと、平和構築や紛争予防のアドボカシー活動をアジアで展開するN-Peace Networkが共同で実施するイノベーション・チャレンジです。プロジェクトは、女性のエンパワーメント、若者支援、イノベーションと技術の融合の分野で活動するインパクト・エンタプライズを支援することで、平和構築を推進していくために、モデル事業を選び出して賞を授与するというもの。対象国は、紛争からの復興途上にあるアフガニスタン、インドネシア、ミャンマー、ネパール、パキスタン、フィリピンの6カ国です。
第一回の賞に選ばれた団体は、たとえばフィリピンのコーヒー・フォー・ピースのように、イスラム勢力との紛争にあるミンダナオ島のコーヒー農家に「適正価格」を支払い、その収益で、トレーニングやコミュニティ・ビルディングを行うことで、平和への意識を高め、和解を促進するなど、包摂的な事業を平和構築と組み合わせるというユニークな活動を行っています。
社会的インパクトの分野は、近年、開発協力から保健医療、教育、災害予防など多様な拡がりを見せていますが、今回のプロジェクトを通じて、さらに平和構築分野でも威力を発揮しそうです。これからの展開が楽しみですね。なお、インドネシアのプロジェクトで選ばれたのは、日本のコペルニクでした。こちらもこれからのさらなる活躍に期待したいですね。