ソーシャル・セクターは、ネットワークの時代に突入しつつあります。集合的インパクトやネットワーク・インパクトが日常的に議論され、ネットワーク型のキャパシティ・ビルディングやネットワークの評価手法までが開発されている今日、助成財団や公的機関も、時代の変化にあわせてそのマインド・セットを変える必要があります。
今後、ファンダーは、従来のように、プロジェクト・ベースの支援や、特定の団体に対するキャパシティ・ビルディング支援やスケールアップ支援ではなく、ネットワークに対する支援手法が求められるようになるでしょう。しかも、ソーシャル・メディアの時代においては、核となる団体を拠点とした垂直型・中央集権型のネットワークよりも、多様なアクターが参加する水平型・分散型のクロス・セクターなネットワークの方が、より持続可能で拡がりが確保できます。こうした変化は、ファンダーの手法にも確実に発想の転換が必要なはずです。
ロックフェラー財団がモニター・インスティチュートと組んで新たに立ち上げたウェブサイトENGAGEは、このようなネットワーク時代に、積極的にこの分野に支援していこうという助成財団や公的機関向けに作られたとても有益な情報リソースとなっています。
ENGAGEは、自分たちの財団が、ネットワーク支援を行う準備が出来ているかどうか、また自分たちのキャパシティでどのような支援を行うことが出来るのかを分析する自己診断ツールから始まって、ネットワーク支援の基本的な考え方についての解説、最新の文献リスト、さらにネットワーク支援のための様々なツールガイドまで、網羅的な情報リソースとなっています。ざっと見ただけでも、ウェッブ上ですでに様々なネットワーク支援ツールが開発されていることを実感できます。ENGAGEは、これから日本でもネットワーク型の仕掛けを作っていこうと考えている方々にも、良き情報リソースになると思います。