この情報ボックスでも何度か取り上げているカルバート財団が、米州開発銀行とパートナーを組んで、中南米における中小企業、教育、住宅、農業協同組合などに対するデット投資プログラムを立ち上げました。初期投資額は2000万ドルとのこと。
カルバート財団は、アメリカのインパクト投資組織ですが、彼らの特徴は、一般を対象にコミュニティ証券を1人1口20ドルから発行し、これで募集した資金を米国内外の社会的課題の解決に投資をしている点です。投資リターンは固定で満期も最長20年と長いですが、償還率100%でしかも参加型という、ユニークな社会的インパクト投資組織です。
今回のプロジェクトでは、カルバート財団がシニア・デット部分に1800万ドルを投資し、米州開発銀行が200万ドルでエクイティを引き受けるとのこと。公的な開発金融機関がリスク部分を引き受け、カルバート財団は一般投資家を保護しつつ投資規模を拡大するというパートナーシップです。同時に、カルバート財団にとっては、米州開発銀行グループの幅広いネットワークを活用することでよりきめ細かい投資審査が可能となるというメリットもあります。
今回のパートナーシップ、おそらく、開発金融の世界では非常に小規模なプログラムなのかもしれません。しかし、コミュニティ証券という形で一般層から資金を集め、国際開発金融機関のサポートを得て、これを開発途上国の小規模事業者や農業協同組合などに対して小規模の投資を行うというスキームが一度確立されれば、他のインパクト投資機関の参入が期待できます。これは、新たな資金循環サイクルを生み出す可能性があります。
このプロジェクトには、IdEAというディアスポラ参加連合組織も協力しています。ディアスポラ・フィランソロピーが注目を集める中、グラントのみならず社会的投資スキームをディアスポラ・フィランソロピーに組み込む可能性が拓かれた点でも、今回のパートナーシップは意義があると思われます。
http://www.iadb.org/…/idb-and-calvert-foundation-launch-iof…