社会的インパクト債を活用した気候変動対策!

米国の成功報酬債にまた新たな可能性が生まれました。米国住宅・都市開発省に新たな社会的インパクト債の導入を定める法律が施行される見込みです。ターゲットは、政府が支援している集合住宅における水道・エネルギー効率向上事業。これに社会的インパクト債を適用し、エネルギー効率向上のターゲットを設定した上で、これに連動する形で民間から投資を募るというシステムです。

このプロジェクトが成功すれば、低所得者にとっては負担する光熱費の節約になり、これは当然、政府補助金の削減にもつながります。また、水道水や冷暖房システムの改善は、住民の健康向上にも寄与します。さらに、このエネルギー削減分は、今回のCOP21で合意されたCO2削減目標の達成にも貢献します。投資家は、もちろん、金銭的リターンを獲得できます。

それだけではなく、仮にこれがうまく機能することが判明すれば、社会的インパクト債ではなく、民間投資という形で、老朽住宅の改修とエネルギー効率の向上をセットにしたビジネスモデルが生まれるかもしれません。

日本でも、60年代から70年代にかけて作られた「ニュータウン」や公団住宅の老朽化が深刻な問題になっています。老朽化の改修費用を捻出しようにも、高齢化が進み、空き室が増えれば改修費用の負担者も減るため、なかなか改修が進まず、さらに資産価値が下がるという悪循環に陥っています。他方、新築マンションの価格は高騰し、庶民には手が届きません。既存物件に付加価値をつけて安い価格で低所得者に供給する方策が望まれます。もちろん、その際に、エネルギー効率の向上を付加価値として加えれば、さらに魅力的なものとなるでしょう。そのために必要な初期投資資金の調達オプションとして「社会的インパクト債」は有力なオプションのように見えます。

米国のプロジェクトの今後の発展に期待したいところです。

http://blog.enterprisecommunity.com/…/12/pfs-program-passed…

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