アライアンス・マガジンが、ユヌス氏へのインタビュー記事を無料で公開しているので読んでみました。言うまでもなく、グラミン銀行を立ち上げてマイクロファイナンスの手法を国際的に認知させたあのユヌス氏です。彼の本は日本でも様々なものが出版されていますが、インタビューは、シンプルな言葉で彼の考え方が表現されていて興味深いです。ポイントだけ紹介すると。。。
・マイクロファイナンスをどう評価する?
→マイクロクレジットはいまや主流になったと言われる。確かにそうだが、世界の銀行システムはまだこれを採用しておらず、銀行システムを利用できない貧しい人たちが多数存在するのも事実。これが今後の問題である。
・なぜ財団設立から社会的企業へと進んだのか?
→貧困の問題に取り組めば、マイクロクレジットのみならず、教育、住居、衛生、栄養、保健医療などの問題が見えてくる。これを解決するための必然的な歩みである。
・将来、財団はなくなりソーシャル・ビジネスだけになるのか?
→財団は財団として残り続けるだろう。ただ、財団もソーシャル・ビジネスにより資金を投じるようになる。
・インパクトをどのように評価するのか?
→極めて単純。ソーシャル・ビジネスは問題解決のために設立される。その問題が解決できたかどうかがインパクトの指標だ。達成度を測るための顕微鏡などいらない。
・ソーシャル・ビジネスを通じて人々を自立させても、結局彼らは富を温存し,格差・不平等は温存されるのでは?
→格差・不平等の問題の根底にあるのは、利益至上システム。これがある限り、問題は解決しない。ソーシャル・ビジネスは、この利益至上主義システムから脱却し、ビジネスを問題解決に使おうという試み。ソーシャル・ビジネスが増えていけば、利益至上システムがもたらす弊害を解消することが出来る。
ちなみに、インタビューの最後の言葉は、「若い人たちに言いたい。自分達は求職者(a job-seeker)ではなく、雇用創造者(a job-creator)である、なぜなら自分たちはそのように生まれてきたのだから、と言い続けなさい。・・・自分は、起業家になりたい。それが人間としての私の本来のあり方であり、独立したクリエイティブな人としてのあり方だから。・・・」
常に現場から物事を思考してきた人の言葉は力強いですね。原文はこちらで読むことが出来ます。
http://www.alliancemagazine.org/…/interview-with-muhammad…/…