米国では、NPOのレーティング・サイトが発展しています。米国の寄附者は、まずこのレーティング・サイトをチェックし、気になるNPOの活動状況や財務状況を確認し、信頼できると判断した上で寄付を行うのが一般的です。NPOにとっては、レーティングの内容が寄付額に直結しますので、その指標の設定の仕方を巡っては、今まで激しい議論が展開されてきました。
今回、このレーティング・サイトの代表的な存在の1つ、GuideStarが、新たなレーティング指標を公開しました。これによると、従来、最も議論となってきた「管理費割合」の指標が撤回されるようです。「管理費割合」指標とは、総支出における管理費の割合が低ければ低いほど、そのNPOは「効率的に事業を行っている」として高く評価するというものです。これに対して、NPO側は、管理費の割合で事業の質を評価することは出来ないと、反発していました。この点が改善されたのは、歓迎すべきだと思います。
今回の改訂は、これ以外にも、様々な改善が見られます。基本的に、評価指標の重点を財務状況から「活動成果」と「活動の進展」に移してより成果志向としたこと、1年限りのデータだけでなく最大15年のデータの推移を見せることで中長期的な視点で評価できるようになったこと、Charting Impactと連携してより記述的に活動を説明出来るようになったこと、などです。職員や理事会メンバーの「多様性(diversity)」を指標に加えた点も見逃せません。
今後、NPOセクター側からの反応が出てくることになると思いますが、基本的に、今回の改定はよい方向に向かっていると思います。もう一つの有力レーティング・サイトのチャリティ・ナビゲーターも、現在、CN3.0として指標の改定を進めていますが、これにも影響を与えそうですね。
日本のNPOセクターにとっては、レーティングというと、どうしても手間がかかるし、一律の評価をされたくないという否定的な反応が先に立つと思います。それは理解できますが、GuideStarのような第三者的な立場に立つレーティング・サイトが登場したことにより、NPOの間でよい意味の競争関係が生じ、またセクター全体に対する認知度や信頼度が大きく向上して結果的に寄付総額を押し上げているという効果を忘れることは出来ません。その意味で、今回のGuideStarの新指標は、日本にとっても参考になると思います。
http://trust.guidestar.org/…/introducing-the-new-guidestar-…