EUの発表によると、欧州投資基金(EIF)は、フランスのNEFを通じて、フランスの300以上の社会的企業に対して総額3300万ユーロのローンを提供することを決定したとのことです。欧州投資基金が信用保証を行い、これによってNEFは、一般金融機関の融資対象となりにくい社会的企業に対して、低利のローンを提供することが出来るようになります。融資対象には、社会的企業だけでなく、貧鉱層を対象としたマイクロファイナンス機関も含まれるとのことです。
これは、EU雇用・社会革新プログラムの一環として行われているマイクロファイナンス・社会的企業部門事業として行われたものです。今後、EUは加盟国内にある資金仲介機関の協力を得て、加盟国に同様のスキームを拡大していくとのこと。これにより、EU加盟国内の社会的企業やマイクロファイナンス機関の資金アクセスが大幅に改善されることが期待されます。
日本でも、昨年、信用保証協会の保証対象にNPOが加えられました。これはNPOが金融機関から融資を受けやすくなったという点で前進だと言えます。ただ、この前進は、あくまでも「営利機関である中小企業と同じ土俵に立つことが出来た」というだけに過ぎません。
社会的な価値を生み出し、より包摂的な社会の確立に向けて働いている社会的企業やマイクロファイナンス機関に対しては、今回の欧州投資基金の枠組みのような形で低利の融資を与えるなどの優遇措置を付与しても良いのではないでしょうか。既に,日本財団、信頼資本財団、京都地域創造基金などの支援により、信用金庫や信用組合による低利のNPO融資は始められています。こうした先行事例の教訓を活かし、政府もより積極的な施策を検討することが求められます。