英国を代表する寄付プラットフォームの一つであるチャリティ・エイド財団が、個人向けのチャリティ債を発行しました。このチャリティ債、高い人気を集めてわずか1週間で2000万ポンド(約30億円相当)を調達し、当初予定よりも早く募集を締め切ったことで話題を集めています。これを機に、NPO債の発行を通じて資金調達を行う手法が加速しそうです。
この個人向けチャリティ債を発行したのは、この商品に特化した取引プラットフォームを提供する「個人向けチャリティ債PLC」という公共有限責任会社です。債券は、きちんと格付けされており、ロンドン証券取引所に上場されています。発行当初の利率は5%に設定されていますが、購入者は、いつでも債券を市場で売却することが出来るようになっています。このため、通常の社債や国債と同じ流動性を持っています。こうした点で、通常、NPOが利用する私募債と決定的に異なります。
英国では、すでに「社会的証券取引所(Social Stock Exchange)」が設立されており、社会的企業向けのレーティングやデューディリジェンスのサービスを行っています。しかし、今回は、これを飛び越えて、いきなりロンドン証券取引所でチャリティ債を発行し、さらに締め切り前に当初予定の資金を調達してしまいました。これは画期的な事態です。
もちろん、チャリティ・エイド財団は、英国内の寄付プラットフォームとして活動するだけでなく、非営利銀行を経営し、グローバルにオフィスを展開する大型の非営利団体ですから、今回の成功を容易に一般化することは慎むべきでしょう。しかし、これを機に、投資家はチャリティ債の可能性に着目し始めると思われます。どうやら、NPO債を通じた大規模資金調達の市場拡大が現実性を帯びてきました。
詳細については、以下のチャリティ・エイド財団のプレス・リリースをご覧下さい。
https://www.cafonline.org/…/m…/launch-of-retail-charity-bond