この情報ボックスでも何度か取り上げましたが、昨年、フェイスブックの創設者ザッカーバーグ夫妻が、娘さんの誕生を機にチャン・ザッカーバーグ・イニシアチブを立ち上げたというニュースが世界を駆け巡りました。このイニシアチブは、ゲイツ財団のような助成財団ではなく、社会的インパクト投資機関だった点でも、フィランソロピーの転換を告げる画期的な出来事として話題を呼びました。
そのイニシアチブの第一弾となるプロジェクトが公表されました。対象は、アフリカのラゴスとナイロビを拠点に、クラウド・ソーシングの手法を活用して若者の雇用・訓練に取り組むアンデラという会社です。
アンデラが採用するクラウド・ソーシングという手法は、マイクロソフトやIBMなどのグローバル企業からコード作成業務を受注し、これをアフリカの小規模ディベロッパーに請け負わせるというもの。ただ、請け負わせるだけでなく、アフリカの若者に対してコーディングのトレーニングを行い、さらに彼らの雇用へとつなげていきます。
ポイントは、アンデラが大規模なシステムをパーツに分け、これをそれぞれのパーツに特化した小規模ディベロッパーに振り分ける役割を果たすことで、通常であれば不可能な大規模システム開発を受注できるようにしたこと。まさに、ビジネスの手法を取り入れながら、アフリカの若者のエンパワーメントを促進するモデル事業だと言えるでしょう。
今回の資金支援は、2400万ドルのシリーズBラウンドの一部。他の投資家には、オミディヤ・ネットワークや、ツイッターに初期投資をしたスパーク・キャピタルなども参加しています。資金は、アフリカにおける第三の拠点開発に投資される予定です。助成ではなくスケールアップのための投資資本に資金を出すという点にも、このイニシアチブのユニークさが表れています。
日本でも、4月に新経済連盟が、社会的投資とベンチャー・フィランソロピーを軸とする新たなフィランソロピーの発展を提言しています。海外のこのような動きに連動して、日本でも「ソーシャル・ベンチャー」に対する資金提供の動きが加速されると良いですね。
http://qz.com/…/mark-zuckerbergs-foundation-is-investing-m…/