「寄付の日(Giving Day)」とは、米国のコミュニティ財団が、ある1日を「寄付の日」に指定して、24時間、特定のオンライン・プラットフォームで集中的にファンドレイジング・キャンペーンを行うイベントを指します。
この日は、コミュニティの多くのNPOがキャンペーンに参加し、一つのプラットフォーム上でファンドレイジングを競います。最も多くの寄付を獲得したNPOには、コミュニティ財団からマッチング助成が出るなどの賞も用意されており、イベントを盛り上げます。2009年に初の「寄付の日」が開催されて以来、全米各地のコミュニティ財団が、それぞれ工夫を凝らしたイベントを開催するようになりました。
米国のナイト財団は、2012年以来、4年間で18団体の49の「寄付の日」キャンペーンを支援してきました。その評価報告が最近、公開されて話題を呼んでいます。報告によると、4年間で1億1630万ドルの寄付がなされ、寄付者数は36.7万人、寄付数は60万に上ります。参加したNPOも2万以上と大きな成果を出しました。
報告書は、こうした成果を踏まえ、「寄付の日」は、(1)コミュニティ財団のプレゼンスと信頼性を高め、(2)コミュニティ財団のオンライン資金調達能力の向上につながり、さらに(3)コミュニティ財団の情報ハブとしての地位を定着させる効果があったと評価しています。これにより、草の根フィランソロピーの拡大と民主化が促進されたことは言うまでもありません。
もちろん、「寄付の日」が成功するためには、長期にわたる準備と入念な仕掛け作りが必要です。コミュニティのNPOの巻き込みからメディア対策、イベントのためのロジスティックまで、様々な業務が発生します。ナイト財団は、こうした準備に要する経費を支援する一方で、オンライン上に運営のためのハンドブックを公開して、「寄付の日」促進に努めてきました。この成果が、今回のインパクト報告につながったと思います。
日本でも、現在、政府が地方の市民ファンドがクラウドファンディングを通じて資金調達を行うのを支援するなど、地方創生とコミュニティレベルでの寄付集めを連携させる動きがはじまっています。コミュニティのメンバー自身の資金でコミュニティの問題を解決する上で「寄付の日」のようなイベントは、非常に強力なツールです。「寄付の日」の取り組み、日本でも広がってほしいですね。