FSGのマイケル・ポーターが主張しているCSVは、 企業がその核となる事業において社会的価値を創造していくことを提唱したユニークな概念です。従来の「企業の社会的貢献」や、「企業の社会的責任(CSR)」が、企業経営の周縁的な位置づけしか与えられていなかったのに対し、CSVは、まさに企業が本業部分で社会に貢献することを提唱しているからです。
そのFSGが、Shared Value Initiative専門のウェブサイトを立ち上げました。今後は、このウェブサイトを通じて、各種イベントの広報やCSVに関わる様々な話題を提供していくようです。とりあえず、CSVに関するポーターの過去の主要論文やインタビュー記事を入手できるのも魅力です。
ところで、CSVはCSRのように普及するでしょうか。CSRがここまで企業に定着したのは、ISO26000により国際的に標準化されたこと、また、国連グローバル・コンパクトのように国際機関が積極的にサポートしたことなどによるところが大きいと思います。また、グローバル・レポーティング・イニシャチブの報告書式のスタンダード化の努力も忘れてはなりません。
これに対し、現時点では、CSVはターゲットが限定されています。BOPビジネスの一部においては適用可能かもしれませんが、あらゆる業種においてCSVが適用可能かどうかは今後、どのような事例をFSGが取り上げていくかによるところが大きいと思います(現在、ウェブサイトに掲載されているのはネスレの事例のみ!)。また、CSVの評価指標が共有され、かつこれが何らかの形で企業業績に連動されるような仕組み作りが成功の鍵を握ると思われるのですが、今のところこの点は明確化されていません。
CSVが単なる理念に留まるのか、それとも、CSRの次を担う一般ルールに成長していくのか、は、これらの制度作りをどこまで進めていけるかにかかっていると思います。この意味からも、この専用ウェブサイトの開設は重要な一歩になると思います。今後が要注目ですね。
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