Khan Academyというのは、ヘッジファンドのマネージャーだったSalman Khanがオンライン上で始めた教育プログラムです。完全に無料で、初等教育レベルの数学、生物学、化学、物理学をカバーし、人文社会分野では金融!と歴史の科目を持っています。1回のクラスに相当するのは10分間のビデオで、コンピューター上で受講することが出来ます。用意されているビデオ数は現時点で4500以上。カリキュラムはさらに拡大しています。現在の利用者は、毎月600万人を超えるとのことです。
このシステムは、もしかしたら、世界の基礎教育を変える可能性を秘めています。インターネットに接続し、コンピューターさえあれば、世界中どこででも、英語でトップクラスの教育を受けることが出来るからです。これに着目して、現在、ゲーツ財団やGoogle.orgなどの主要財団が、このプロジェクトをサポートしています。
クロニクル・オブ・フィランソロピーが、このKhan Academy の創設者Salman Khanへのインタビュー記事を掲載しています。彼は、ヘッジファンドに勤務していたときに片手間でこのサイトを立ち上げました。2009年に、サイトへのアクセス数が月数十万に達したのを機に、彼はヘッジファンドを退職し、このプロジェクトに専念することを決意します。とりあえず、貯金を取り崩しながらプロジェクトを継続していると、9ヶ月後に、1万ドルの小切手がある女性から送られてきたそうです。彼は喜んで彼女に会いに行きます。彼女から目標は何かと聞かれ、彼は「世界中のあらゆる場所、あらゆる人に世界レベルの教育を無料で提供するバーチャル・スクールを作り上げるんだ」と答えます。その日の午後、彼女から「10万ドルを送金した」というテキスト・メッセージが送られてきたそうです。
その後は、噂が噂を呼び、ゲーツ財団をはじめとした様々な財団から、「資金を提供すれば、何が出来るのか」という照会が相次いだそうです。彼は、それぞれのオファーにデータに基づくプロポーザルを出し、着実にプロジェクトを拡大して今に至っています。このインタビュー記事はとても面白くて、これ以外にもいろいろと興味深いコメントがあって、ぜひ読んで欲しいのですが、一つだけ、印象的な言葉を紹介しておきます。
「私達をサポートしてくれるドナーは、結果を求めます。彼らは、評価基準、スケール、インパクトを求めます。しかし、もしも私達が彼らのリクエストに応えれば、彼らは喜んで、私達が自分たちのやり方で実験し、新しいことを試させてくれます。」
記事は以下のサイトで読むことが出来ます。
http://philanthropy.com/article/Grandiose-Idea-Attracts-Donors/140991/?cid=pt&utm_source=pt&utm_medium=en