先日、この情報ボックスで、スタンフォード大学とFSGが「次世代評価」をテーマにしたシンポジウムを開催するという記事をご紹介しました。鍵となるコンセプトは、「開発型評価(Developmental Evaluation)」「評価基準の共有(Shared Measurement)」「ビッグ・データ」でしたね。
これに関連し、FSGは「次世代評価:複雑さ、つながり、変化を包含する」というブリーフィング報告を公開しました。わずか20ページ足らずのレポートですが、以上の3つのコンセプトの概要とその背景が簡潔に紹介されていて役に立ちます。
鍵となる3つのコンセプトについては、以前の記事でご紹介済みですから、今回は、その背景部分を紹介しておきます。報告によると、次世代評価が登場する背景にあるのは以下の6つのトレンドだそうです。
1)個別のプログラムやプロジェクトではなく、システム全体の評価へ
2)年度末報告のための固定したものとは全く異なるフォーマットを使い、より短いサイクルでかつリアルタイムのフィードバックへ
3)伝統的なデータ収集方法ではなく、新しく、革新的で、デジタルを活用したデータ収集へ
4)財団とグランティーの一対一関係の評価から、複数の組織にまたがる学びのための責任共有へ
5)伝統的なデータ報告手法ではなく、洗練されたデータのビジュアル化とインフォグラフィックスの活用へ
6)評価者だけがデータを集めるのではなく、持続する実践としてすべての関係者がデータを収集し利用するという形式へ
さすがFSG。かなり強引ですが、うまくまとめましたね。デジタルの活用やインフォグラフィックスの導入なども重要ですが、もっとも大切な点は、リアルタイムでの情報収集と、これをすべての利害関係者と共有し、学びの共同体を作ることでイノベーションを組織していくという基本理念だと思います。今後、このコンセプトからソーシャル・イノベーションに関する大きなフレームワークが生まれるような気がします。