社会的インパクト投資の2016年のビッグチャンス

G8社会的インパクト投資フォーラムの基礎資料となった「社会的インパクトを投資可能にする」(https://www.spf.org/publication/detail_15838.html)の著者マクシミリアン・マーチンが、2016年に社会的インパクト投資が発展する可能性のある4領域についての論考を発表しました。彼は、「インパクト・エコノミー」という考え方を提唱していて、非常に視野の広い議論を展開する人なので、なかなか説得力のある議論を展開しています。おそらく、社会的インパクト投資が今後大きく伸びる分野はこの4つになるでしょう。

1)気候変動への対応
→昨年のCOP21で気候変動への対応についての基本枠組みが決まり、Breakthrough Energy Coalitionがこの分野のベンチャーへの20億ドルの投資をコミットしました。連合には、ゲイツや孫正義も含まれています。再生可能エネルギーやクリーンテクノロジーの分野で活動するベンチャーは、インパクト投資の最大の成長分野になることが期待されます。

2)サプライ・チェーン・マネジメント
→これはマックスのお気に入りの分野ですが、大幅な投資をしなくても、たとえば南アジアの衣料製品工場など、劣悪で環境にも負荷の大きい工場設備を改善する投資は、人権・労働・環境面で大きなインパクトをもたらします。確かにレバレッジの高いので、グローバル・コンパクトなどと連携すれば、大きく成長する可能性があります。

3)開発途上国のインフラ整備
→開発途上国のインフラ整備は従来、ODAが中心でした。しかし、新興国の発展などにより、徐々に、現地資本も成長しつつあります。これを活用してパブリック・プライベート・パートナーシップの資本枠組みを作ると、インフラ整備は画期的に進みます。これにインパクト投資資金を投入しようという議論です。

4)FInTech
→前回の記事でも紹介したように、FinTechは開発途上国における金融包摂に革命的な変化をもたらしうるツールです。これは、BOP市場を爆発的に拡大する可能性があります。おそらく、社会的インパクト投資家にとって、2016年に最も狙い目とする投資分野はこれではないかと思われます。

2016年は、フェイスブックCEOのザッカーバーグの社会的インパクト投資事業も立ち上がります。新たに巨額の資本が流入してくるので、今年は社会的インパクト投資市場の拡大にとって、節目の年となりそうです。

http://ssir.org/…/impact_investing_four_opportunities_for_2…

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