村上隆の「芸術起業論」のおかげで、日本でもアート活動にビジネスの視点を取り入れるという議論が活発になってきました。すべてのアーチストが、村上隆のように作品が億単位で売買されるようになる必要はないと思いますが、やはりアーチストも生きていく以上は、稼がなければなりません。そして、どうせ稼ぐなら、社会に役立つ稼ぎ方をしたいですよね。
米国では、90年代より、アート・サポートの一環としてアート・インキュベーションが注目されてきました。ヴェンチャー・ビジネスと同様に、アートにもインキュベーターが必要だという議論です。90年代は、アーチストが共同で使える制作スペースやビジネスのためのオフィスを提供したり、アーチストとアート・ビジネスの出会いの場を提供したり、という活動が主でしたが、近年は、アーチスト自身がビジネスのセンスを身につけることができるよう、マーケティングや著作権処理のトレーニングを行ったり、以前に紹介したゼロ1のように、アーチストの作品を商品化するのをサポートするように進化してきました。
AIR(Arts Incubator of the Rockies)は、ロッキー山脈周辺の山岳地帯をベースに活動しているアート・インキュベーター専門の非営利団体です。アーチストのビジネス・スキルを高め、さらにアートを通じたコミュニティの活性化を支援しようと言う野心的なプロジェクト。前回紹介したArtPlace も同様ですが、アートは、単に美を志向するだけではなく、コミュニティの発展にも寄与しうるのです。
http://www.airartsincubator.org
Share Meby