ブラックボード財団の起業支援プログラム:エコシステム構築アプローチ

先進国に共通の悩みとして失業問題、特に若年層の雇用をいかに確保するか、という問題があります。経済成長に制約がある中、この問題の解決は簡単ではありませんが、一つの解決方法は、若者の起業を支援し、自立させることです。こうした問題関心に立って、ブラックボード財団は、米国における起業支援とイノベーション促進のために、5年間で5000万ドルのイニシャチブを立ち上げました。

このイニシャチブの基本コンセプトは、「エコシステムの構築」です。従来、起業支援というと、インキュベーター・プログラムにせよ、トレーニング・プログラムにせよ、あるいはヴェンチャー・フィランソロピーにせよ、個人への支援が中心で、起業〜イノベーションを促進するシステム作りには目が向けられていませんでした。このイニシャチブは、幾つかの地域をターゲットにして、そこに若者が起業・成長していくための「エコシステム」を構築することでこの問題のブレイクスルーを目指します。

具体的には、(1)専門家によるコーチング・システムを確立し、そこを通じて若者に継続的で実用的なコンサルティングを行う、(2)地域の大学やエンジェル・ファンドなども巻き込んだ地域レベルのネットワークを形成し、起業からスケールアップまでの一貫したサポートシステムを整備する、(3)都市部のみならず、農村部にも起業の輪が広がるように、各地にネットワーク・ハブを作る、というものです。これにより、地域全体の起業拡大と雇用確保を図ります。

雇用対策には、もちろん、行政も資金を投じています。しかし、官僚機構と縦割り行政の弊害で、こういうエコシステムの構築のようなアプローチは困難です。そこにブラックボード財団のような民間フィランソロピーが求められる理由があります。彼らの試みは、新たな雇用対策モデルとなることが期待されます。

http://www.blackstone.com/citizenship/the-blackstone-charitable-foundation

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