NPOの情報公開がセクターを拡大する

ビッグ・データの話が出たついでに、NPO情報の公開について一言。私が紹介するまでもないですが、米国 ガイドスターが米国内国歳入庁の保有しているI-990という報告フォームを一括してオンライン上で提供するようになったことで、NPOセクターを巡る環境は一変しました。

その中でも最大の変化は、NPOに対するレーティングが一般化したこと。ガイドスターの情報を使いながら、独自の指標を通じてNPOをレーティングするチャリティ・ナビゲーターやBBBワイズ・ギビングのようなオンライン・プラットフォームが立ち上がりました。

これはNPOにとって何を意味するのでしょうか。アカウンタビリティが高まることは、一般からの厳しい評価にさらされることを意味します。ガバナンスの向上が不可欠になります。また、レーティング指標の中には、「管理的経費の比率が低い」ことを評価の条件に入れている場合があり、指標がNPOのキャパシティ・ビルディングにとってネガティブなインパクトを与えたという議論もあります。

しかし、オンライン上での情報公開とレーティングによって、個人の寄附市場が飛躍的に拡大したという点を見逃してはなりません。アメリカ人にとって、寄附は投資の一環であり、寄付先の非営利団体の活動状況をチェックし、自分の寄附金が有効に使われることを納得できることは、寄附の大きなモチベーションになります。しかも、オンライン上で、分野・地域などの検索ツールが用意されていることで、寄附者にとって、寄付先団体を選定することが容易になりました。言い換えれば、寄附に関する取引費用が低減されたわけです。このことが、寄附行為の拡大・促進に寄与したことを忘れてはならないと思います。

さらにこうしたオンライン上での寄附市場拡大に伴い、逆にNPO側が、オンライン上でファンド・レイジング・キャンペーンを行うグローバル・ギビングやクラウドライズなどが登場し、NPOの寄附市場は新たな時代を迎えることになります。

一見すると、NPOがオンライン上で様々な情報を公開することはNPOの負担を増すだけでメリットがないように感じられますが、アメリカの事例を見ている限り、むしろそれはNPOの寄附市場拡大に大きく貢献したことを忘れてはならないでしょう。

http://www2.guidestar.org/

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