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ソフトパワーの源泉としてのソーシャルイノベーション

主要先進諸国では、英国のブリティッシュ・カウンシルやドイツのゲーテ・インスティチュートなど、自国文化の海外紹介や、海外との交流促進のための専門機関が設立されています。日本にも国際交流基金があります。これらの国際交流機関は、各国のソフト・パワーの担い手として重要ですが、最近、主要機関が、ソーシャル・イノベーションの普及に本腰を入れ始めました。今後、この分野の事業が、新たなソフト・パワーの源泉となり得るか注目されます。

ブリティッシュ・カウンシルは、現在、「Great Britain」キャンペーンの一環として、英国のソーシャル・エコノミーの経験を開発途上国に移転するプロジェクトを行い、また「Students for Social Impact」プログラムを通じて、英国の学生が海外の社会的インパクト事業を体験することを支援しています。今後は、英国の社会的投資や社会的企業の経験を海外に普及するキャンペーンにも乗り出す予定です。

さらに、ブリティッシュ・カウンシルは、最近、世界の高等教育における社会的企業関連事業の実態調査を行いました。この結果、世界12カ国の高等教育機関の内、75%の機関が積極的に社会的企業関連プログラムを推進していることが判明しました。これは、ビジネス・スクールでの授業だけでなく、インキュベーション・サービスの提供や学生の起業支援などにも広がっているとのことです。今後、ブリティッシュ・カウンシルは、さらに各国のケース・スタディを進めると共に、国際ネットワークの形成を図っていくとのことです。

これに対し、ドイツのゲーテ・インスティチュートは、「Future Perfect」という多言語の国際情報共有プラットフォームを立ち上げています。これは、世界各国で進められているソーシャル・イノベーション事例を英語、ドイツ語だけでなく、日本語、中国語、韓国語、スペイン語、アラビア語、フランス語など様々な言語で発信し、共有していこうというプロジェクトです。

このプラットフォームは、世界各国のゲーテ・インスティチュート事務所を核に、それぞれ地域パートナーの協力を得て進められています。ゲーテ・インスティチュートにとっては、このプロジェクトを通じて国際的なソーシャル・イノベーションの発展に寄与できるだけでなく、グローバルなソーシャル・イノベーター・ネットワークの核となることもできるというメリットがあるのでしょう。

21世紀においては、グローバルに活動するソーシャル・イノベーターが国際社会を先導していくことが期待されます。彼らのネットワークに自国の若者を参加させ、さらにネットワーク支援を通じてソーシャル・イノベーターとの関係を強化することは、各国のソフト・パワー形成に重要な意味を持ちます。ブリティッシュ・カウンシルやゲーテ・インスティチュートが、従来型の語学教育や文化紹介、人物交流事業から、こうした新たな分野に進出していることが、これを明確に語っています。日本でも、同様の試みを早急に発展させていく必要があるでしょう。

https://www.britishcouncil.org/…/news-social-enterprise-and…

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中小企業向け政策金融を通じた社会的インパクト投資促進

米国で発展する社会的インパクト投資。民間投資家と財団が主導したものだと一般には考えられていますが、実は、米国政府も強力にサポートしています。 続きを読む

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エビデンス志向政策の普及に向けた提言

大統領選に向けて盛り上がっている米国。4年に一度の選挙の年は、様々なシンクタンクや市民団体が、次期大統領に対して政策提言を競う年でもあります。エビデンス志向政策(Evidence Based Policy)も例外ではありません。 続きを読む

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アジアの社会的起業を支援する

アジアでも社会的起業の必要性は高まっています。パイオニア・ポストの最新の記事は、アジアにおける社会的起業支援の現状と課題を紹介していて役に立ちます。執筆者は、グローバル社会的起業家ネットワークのメンバー。社会的起業支援の国際的ネットワークはアジアにも広がりつつあります。 続きを読む

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カナダ・オンタリオ州の社会的企業戦略2016-2021

カナダ・オンタリオ州は、近年、社会的企業育成に積極的に取り組んでいます。2013年の戦略では、世界初の地域コミュニティ型社会的証券取引メカニズムSVXを立ち上げたり、社会的企業デモンストレーション基金を通じた成長支援などに取り組んだりとユニークな試みを打ち出しました。また、社会的インパクト債の導入検討も進められています。 続きを読む

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全米NPO協議会が「公共政策課題2016」を発表

NPOを巡る誤解の一つに、アドボカシーがあります。NPOは特定の政党や候補者を支援する「政治活動」を行うことは規制されていますが、自分たちが追求するミッションを達成するため、政策提言や特定の政策の実現を目指す「アドボカシー活動」は認められています。しかし、このことは十分に共有されておらず、行政が不当に規制したり、逆にNPO側が自己規制してしまうことが多々あります。 続きを読む

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社会的企業育成のために政府公共調達政策を活用する

社会的企業は、政府の様々な福祉サービスの隙間を埋め、さらに多様な財・サービスを通じて社会的包摂を推進する重要な存在です。では、このような社会的企業セクターをより発展させていくためには何が必要でしょうか。 続きを読む

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社会的企業向けファイナンス発展に向けて

EUは社会的企業を社会的課題解決のための重要なプレイヤーと位置づけ、積極的に支援策を進めています。このために、様々な研究プロジェクトも支援しています。今回は、最近デンマーク工科大学政策・ビジネス分析センターが発表したディスカッション・ペーパー「社会的企業向けファイナンス発展にむけて」をご紹介したいと思います。 続きを読む

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英国政府が社会的インパクト債のための基金設立

社会的インパクト債関連の情報をもう一つ。英国政府が8000万ポンドのファンドを設立しました。「Life Chances Fund」と名付けられたこのファンド、基本的に地域レベルで社会的インパクト債を含めた「成果報酬型契約(Payment-by-results contracts)」を行いたいという社会的投資家に資金を供給することを目的としています。 続きを読む

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英国社会的証券取引が地方に展開

英国社会的証券取引所が、リバプール市とウィラル市に地方出先機関を開設することを発表しました。12ヶ月のパイロット事業として実施し、うまくいけば恒常的な施設にするとのこと。社会的証券取引所は、既にサウス・ウェストに出先機関を開設していますが、今後、地域の社会的企業に対するファイナンスを強化しそうです。 続きを読む

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