ウォール・ストリート・ジャーナルが、イェール大学のディーン・カーラン教授が新たに立ち上げたImpactMattersという非営利団体を取り上げています。この団体は、企業会計・監査の手法を非営利団体用に改訂し、「インパクト監査」という新たな手法を開発して非営利監査に乗り出したとのこと。 続きを読む
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ザッカーバーグ氏の寄付モデルは新たなスタンダードになるか?
昨日、フェイスブックの創設者ザッカーバーグ氏が、お嬢さんの誕生を機に、フェイスブック所有株の99%を今後、生涯を通じて社会貢献活動に捧げることを表明した、という報道が全世界に配信されました。総額は約5兆円に上ります。この件について、早速、米国のフィランソロピー・セクターでは議論が始まっています。
論点は、ザッカーバーグの関心領域からシリコン・バレー長者の寄付動向まで多岐にわたるのですが、私が面白いと思ったのは、ザッカーバーグの寄付手法を巡る議論です。クロニクル・オブ・フィランソロピー誌は、ザッカーバーグ氏が社会貢献を行うにあたり、従来のように財団を設立するのではなく、LLC(有限責任会社)を通じて行うつもりである点の可否を取り上げています。
クロニクル誌は、ザッカーバーグ氏が助成財団を設立しないことにより、(1)活動の透明性が担保されない、(2)財団に適用される5%支出ルールから外れる、(3)財団であれば当然公開すべき主要役員の給与などが公開されないので私的利益の追求に使われる恐れがある、などの問題点を指摘しています。もちろん、財団設立の場合に適用される免税措置もありません。
他方、LLCを採用する場合のメリットは、(1)資金の使い方の自由度が広がる、(2)特に、社会的投資を行う場合、財団のような様々な制約がない、という点です。
性善説に立てば、ザッカーバーグ氏は、従来の助成金中心の財団モデルの限界を感じているためにLLCを使った社会的投資を中心とする新しいフィランソロピーを開拓しようとしている、ということになり、性悪説に立てば、ザッカーバーグ氏は、助成財団設立に伴う透明性の確保や利益相反などの問題を回避しようとしている、ということになります。
しかし、私は、この問題は、ザッカーバーグ氏の個人的なコミットメントの問題である以上に、21世紀型のフィランソロピーのあり方を巡る問題であるような気がします。それは、20世紀に確立された助成財団という社会貢献ツールを認めるか、あるいは21世紀型モデルとして台頭している社会的投資ツールを認めるか、という立場の違いです。
オミディヤ・ネットワークは、両者を併存させるハイブリッドモデルを提示しました。ザッカーバーグ氏のモデルは、さらにこれを超えて社会的投資のみのモデルを追求しようとしているようです。さて、このモデルが有効性を示し、かつ社会的に受け入れられるかどうか。これからの動向が気になるところです。
https://philanthropy.com/…/Using-For-Profits-to-Fun…/234429…
メトリックス 3.0
データ志向アプローチのためのインフラ整備
王様は裸か?ー社会的インパクト投資の評価を巡って
ユタ州の社会的インパクト債「成功」に重大な疑問が浮上!
先日、ご紹介したユタ州の社会的インパクト債「成功」の情報に重大な疑問が呈されました。ニューヨークタイムズの報道によると、このユタ州の社会的インパクト債の対象となったプレスクール教育プログラム、110名のうち1名を除いて全員が通常の教育プログラムに進学して「成功」した、とされていますが、専門家によると、これはありえないということです。同様の手法を適用した場合、通常の成功率はせいぜい10〜20%、非常に潤沢な資金を投入してきめ細かいケアを行ったとしても、その成功率は過去50%程度にとどまっていたとのこと。今回のユタのプロジェクトに対しては、それほど潤沢な資金が投じられていなかったにもかかわらず、ほぼ100%近い「成功」があったというのはあり得ないというのが、専門家の見解だそうです。 続きを読む
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