投稿者「pha84025」のアーカイブ

ザッカーバーグ氏のフィランソロピーモデル(続々編)

ザッカーバーグ氏のフィランソロピーに関するさらなるコメントです.

12月4日に、ザッカーバーグ氏自身のメッセージがポストされました。これによると、「財団を作ったら、その時点で免税になるけれど、財団には制約がある。自分たちにとって最も重要なものは、ベストの仕事を行う組織に資金を提供する柔軟性にある。その組織がどのような法人格を持っているかは関係ない。もちろん、LLCの場合、キャピタルゲインに課税されるけど、自分たちは払うつもりだ。」ということでした。 続きを読む

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ザッカーバーグのフィランソロピー・モデル(続報)

先日お伝えしたフェイスブック創設者ザッカーバーグとその奥さんチャンさんの2人が始めるフィランソロピー活動「チャン・ザッカーバーグ・イニシアチブ」についての議論がさらに盛り上がっているのでご報告します。 続きを読む

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Lean Data:アキュメン・ファンドが提案するインパクト評価のオルターナティブ

社会的インパクト投資であれ、社会的インパクト債であれ、発展の鍵を握るのは「社会的インパクト評価」だということは言うまでもありません。SROI、RCT、CBAなど、多様な方法が提案・導入されています。また、IRISやGIIRSなどのツールも開発されています。これらはもちろん、投資資金を獲得するために不可欠なものなのですが、どうも議論の方向性が「まず投資家ありき」なのではないか、という疑問もぬぐえません。 続きを読む

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ザッカーバーグ氏の寄付モデルは新たなスタンダードになるか?

昨日、フェイスブックの創設者ザッカーバーグ氏が、お嬢さんの誕生を機に、フェイスブック所有株の99%を今後、生涯を通じて社会貢献活動に捧げることを表明した、という報道が全世界に配信されました。総額は約5兆円に上ります。この件について、早速、米国のフィランソロピー・セクターでは議論が始まっています。

論点は、ザッカーバーグの関心領域からシリコン・バレー長者の寄付動向まで多岐にわたるのですが、私が面白いと思ったのは、ザッカーバーグの寄付手法を巡る議論です。クロニクル・オブ・フィランソロピー誌は、ザッカーバーグ氏が社会貢献を行うにあたり、従来のように財団を設立するのではなく、LLC(有限責任会社)を通じて行うつもりである点の可否を取り上げています。

クロニクル誌は、ザッカーバーグ氏が助成財団を設立しないことにより、(1)活動の透明性が担保されない、(2)財団に適用される5%支出ルールから外れる、(3)財団であれば当然公開すべき主要役員の給与などが公開されないので私的利益の追求に使われる恐れがある、などの問題点を指摘しています。もちろん、財団設立の場合に適用される免税措置もありません。

他方、LLCを採用する場合のメリットは、(1)資金の使い方の自由度が広がる、(2)特に、社会的投資を行う場合、財団のような様々な制約がない、という点です。

性善説に立てば、ザッカーバーグ氏は、従来の助成金中心の財団モデルの限界を感じているためにLLCを使った社会的投資を中心とする新しいフィランソロピーを開拓しようとしている、ということになり、性悪説に立てば、ザッカーバーグ氏は、助成財団設立に伴う透明性の確保や利益相反などの問題を回避しようとしている、ということになります。

しかし、私は、この問題は、ザッカーバーグ氏の個人的なコミットメントの問題である以上に、21世紀型のフィランソロピーのあり方を巡る問題であるような気がします。それは、20世紀に確立された助成財団という社会貢献ツールを認めるか、あるいは21世紀型モデルとして台頭している社会的投資ツールを認めるか、という立場の違いです。

オミディヤ・ネットワークは、両者を併存させるハイブリッドモデルを提示しました。ザッカーバーグ氏のモデルは、さらにこれを超えて社会的投資のみのモデルを追求しようとしているようです。さて、このモデルが有効性を示し、かつ社会的に受け入れられるかどうか。これからの動向が気になるところです。

https://philanthropy.com/…/Using-For-Profits-to-Fun…/234429…

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インパクト・インフラストラクチャーに向けて:CIIXの挑戦

公共事業は、一国の経済・社会の基盤を提供します。水資源の管理、エネルギーの生産・供給、運輸、住居、その他社会・公益インフラは、我々の経済と社会を支える根幹です。従来、これは政府資金(補助金、政策金融)が中心的な役割を果たしてきました。しかし、主要先進諸国において政府財政が逼迫してくるに伴い、政府主導には限界が出てきました。日本でも、新たなインフラ整備はおろか、インフラの維持の費用さえ覚束なくなりつつあります。他方、公益性の高いインフラ事業を完全に民営化することには大きなリスクが伴います。 続きを読む

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市民社会の危機とグローバル・フィランソロピーの対応

80年代末の冷戦の崩壊により、共産圏諸国との壁が開放されたことで、グローバル・フィランソロピーは一気に拡大しました。欧米諸国の助成財団は、こぞって中東欧諸国や中央アジア諸国の民主化や体制移行への支援に参画し、日本もアジアの旧社会主義諸国の支援に官民で取り組みました。90年代初頭には、グローバルな市民社会の形成が熱気を持って語られていました。 続きを読む

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低所得者向け医療福祉サービスを対象としたインパクト投資基金

社会的インパクト投資というと、どうしても先進的なテクノロジーを活用した社会的企業のスケールアップに対する投資をイメージしてしまいます。しかし、本来、「社会的インパクト」というのは、「一定の介入措置を通じてコミュニティに肯定的な変容をもたらす」ことを意味しているわけですから、必ずしもイノベーションの領域に特化する必要はありません。 続きを読む

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FEAD:EUが取り組む貧困プログラム

日本でも生活困窮者自立支援法が制定され、子供の貧困対策が真剣に議論されています。主要先進諸国においても、貧困の問題は重要な課題です。社会的包摂を政策課題の一つに掲げるEUのFEADプログラム報告書は、この問題への取り組みについて、興味深い事例を提供しています。 続きを読む

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ENGAGE:ネットワーク時代のファンダー向け情報リソース

ソーシャル・セクターは、ネットワークの時代に突入しつつあります。集合的インパクトやネットワーク・インパクトが日常的に議論され、ネットワーク型のキャパシティ・ビルディングやネットワークの評価手法までが開発されている今日、助成財団や公的機関も、時代の変化にあわせてそのマインド・セットを変える必要があります。 続きを読む

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米国議会で進む「成功報酬債」関連法制化の動き

成功報酬債(PFS: Pay for Success)は、米国版の社会的インパクト債です。ホワイトハウス主導で開始されたこの新たなファンディング・プログラムに対し、議会で法制化の動きが続いています。 続きを読む

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