FSGが推進している「集合的インパクト(Collective Impact)」のコンセプトが国際的な拡がりを見せています。当初、FSGは強力な事務局の存在を前提としたコミュニティ規模の協働を想定していました。しかし、米国から海を越えた英国では、より緩やかなネットワーク志向の「集合的インパクト」の可能性が模索されています。 続きを読む
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米国におけるキャパシティ・ビルディングの発展
大規模NPOのスケールアップの秘訣
公益分野でのデジタル技術活用を加速させるプラットフォーム
社会的企業のインパクトを持続させるには?
さらに進化を遂げる米国の共同ファンディング枠組み
インパクト投資の新たな発展に向けた提案
市民社会の危機とグローバル・フィランソロピーの対応
社会的企業のスケールアップ戦略の現状と課題
社会的企業はビジネス・モデルを使って社会的課題の解決を目指します。営利であれ非営利であれ、ビジネス・モデルを使う以上、経営の安定のためにスケールアップが必要となります。なぜなら、スケールアップを通じてマーケットを拡大し、収入基盤を安定させることによって不足の事態から生じるリスクへの抵抗力が増すからです。
ドイツの財団が欧州主要諸国の社会企業を対象に実施した「欧州における社会的インパクトのスケールアップ調査」報告書は、このスケールアップの現状と課題を実証的に分析していて興味深いです。
調査では、まず、スケールアップ戦略として、以下の4つのカテゴリーを提示します。
1)キャパシティ・ビルディング
→組織の基盤強化
2)戦略的拡大
→新たな製品・サービス、顧客、活動範囲の拡大
3)契約パートナーシップ
→ネットワーク形成、ライセンス化、ソーシャル・フランチャイズ、ジョイント・ベンチャー
4)知識の普及
→模倣、ロビーイング、テクニカル・サポート
日本では、社会的企業のスケールアップ戦略というとまだ組織の基盤強化と戦略的拡大しか議論されていませんが、欧州の場合は、パートナーシップや知識の普及なども視野に入っている点が注目されます。特に、ソーシャル・フランチャイズやライセンス化などの手法は要注目ですね。
その上で、報告書は、それぞれのカテゴリーごとに、成功/失敗要因を分析し、さらに国境を越えたスケールアップの可能性を探っていきます。スケールアップを成功させる組織の要因は何か、逆にスケールアップを阻む内的/外的要因は何か等を、社会的企業へのヒアリングやアンケート調査を通じて検証しているため、説得力がありました。
日本でも、ソーシャル・ビジネスの拡大は政策課題の一つです。新たな法人格や社会的投資などの資金供給、インキュベーション支援なども重要ですが、このように将来のスケールアップも考えることも必要です。この調査のように、具体的な調査による検証を通じた制度設計の議論が求められます。
https://www.bertelsmann-stiftung.de/…/scaling-social-impac…/