成功報酬債券(米国版の社会的インパクト債券)は大々的に喧伝されていますが、カリフォルニア州ではまだ導入されていません。連邦政府の旗振りにもかかわらず、これが普及しないのは、このメカニズムをマネージする専門家が少ないことと、リスクが高いためになかなか民間投資家が参加に踏み切れないためです。ニューヨークのようにブルンバーグ市長が旗を振り、主要財団がバックアップするところでは大手金融機関が参加できますが、これ以外のところではなかなか導入が難しいというのが実情です。 続きを読む
Share Meby「ソーシャル・ファイナンス」カテゴリーアーカイブ
オープン・ソサエティ財団の集合的インパクト・アプローチ
金融包摂グローバル・フォーラム2020の報告書発表
CGAPが金融包摂に関する最新データを発表
IIXがインパクト・フォーラム2014を開催
世界経済フォーラムがインパクト投資に関する新報告書を発表
英国非営利団体の課題
この情報ボックスでは、英国の社会的投資や社会的インパクト債権の動向についても取り上げています。こうした革新的な動きは、もちろん日本においても参考にすべき点が多々あると思うのですが、一方で、こうした華々しい政府発表の陰で、非営利団体がどのように考えているのかを知るの重要です。
サードセクターの記事によると、2008年から始まる不況と2010年の保守・自由党連立政権による歳出削減は、非営利団体に大きな打撃となっており、さらに「結果に応じた支払いPayment-by-results」の導入は、非営利団体が本来のミッションを失い、成果の出やすい事業に集中して本来支援が必要な層への事業を後回しにするという傾向を助長させていると論じています。
ソーシャルイノベーションの設計に当たっては、こうした陰の面についてもしっかりしたデータ収集と分析に基づいて光を当てて行く必要があることは言うまでもありません。
MBAでインパクト投資を実践する!
金融包摂における「BOP消費者保護」
CGAPが「ピラミッド最底辺の金融消費者が行う償還請求を機能させるために」という報告書を公開しました。
モバイル技術の発達により、マイクロファイナンスによる金融包摂の手法は多様な広がりを見せています。従来は、貯蓄、ローン、投資、保険などの金融サービスにアクセスできなかった貧困層を対象とした各種金融サービスが開発されています。しかし、こうしたサービスの拡大は、一方で「消費者」の苦情をどのように処理するかという問題を生じます。開発途上国の農村地域の農民が、はるか遠くの都市部に拠点を持つ金融サービスに苦情を申し立てるにはどうすればよいでしょうか。また、いまだに識字率の低い開発途上国の低所得者層にとって、文書による苦情の申し立てを行うのはコストも手間もかかります。
この報告書は、こうしたピラミッド最底辺の金融消費者に特有な問題点を踏まえて、消費者ホットラインの設置やモバイル電話による苦情受け付け、リモート・バンキング業者による対応などの様々なチャネルを通じた対応などを通じて、このような消費者にもアクセス可能な償還請求メカニズムを可能な限り多く用意するよう提言しているとのこと。
BOPビジネスは、開発途上国の問題解決をビジネスを通じて実現しようというものですが、ビジネスと消費者の間に圧倒的な情報・交渉力格差が存在する中では、BOPビジネスに特有の消費者保護システムが設計される必要があるということでしょうか。金融包摂の領域のみにとどまらない問題を提起していると思いました。